【この記事の3行まとめ】
- 動画の要点は「AIのルールを決める議員を、AI企業のお金が選んでいる」という話だった
- その広告はAIの話をしない。だから仕組みを知らないと見抜けない
- 自分の立場は「安全基準は義務化すべき。でもAI企業が認知を変える努力には賛成」
初めに:正直、よく分からなかった
TBS CROSS DIGは、AI関係のニュースや対談コンテンツが多いので普段からよく見ています。今回見たのは、2026年のアメリカ中間選挙で、AI企業のお金が選挙を動かしている、という動画でした。
ただ正直に言うと、見終わってもよく分かりませんでした。
団体名は英語だらけだし、金額は何億ドルと並ぶし、出典のメディア名も知らないものばかり。表面をなぞった感じがして、「で、結局何が起きてるの?」というモヤモヤだけが残りました。
なので今回は、僕のAI秘書のMuse(ミューズ)に一緒に調べてもらって、噛み砕いてから自分の意見を書くことにしました。
考えてみると、これはなかなかの皮肉です。世の中のAIに関する記事の多くは、AIの危険性を煽るようなものばかりです。なのに、その記事が難しすぎて何を言っているのか分からないから、噛み砕くためにAIを使う。「AIは危ない」と言う記事を、AIの助けで読む時代なんですよね。

噛み砕くと、こういう話だった

スーパーPACとは
まず言葉の整理から。
「スーパーPAC」というのは、候補者本人とは別に、無制限にお金を集めて選挙広告を打てる政治団体のことです。候補者に直接お金を渡すのではなく、「この候補を応援する広告」「あの候補はダメだという広告」を、勝手に流すことができます。
対立している2つの陣営
今回の主役は、そのAI版です。
- Leading the Future(リーディング・ザ・フューチャー):AIのイノベーションを縛る規制に反対し、連邦の統一ルールを求める側。集めた資金は約1億2500万ドルで、OpenAI社長のグレッグ・ブロックマン氏夫妻や、ベンチャーキャピタルのa16zなどが拠出しています。
- Public First Action(パブリック・ファースト・アクション):AIに安全基準(ガードレール)を求める側。AI企業のAnthropicが4000万ドルを拠出しています。
(金額は調査報道Bellingcatが連邦選挙委員会への申告をもとに報じたもの。動画内の数字とは少し違いますが、「集めた額」「特定企業が出した額」「実際に使った額」のどれを数えるかで変わるためです)
つまり対立は「AI推進派 vs AI反対派」ではありません。「規制は緩く、ルールは国で統一を」vs「安全基準をちゃんと義務化すべき」という、ルール作りの主導権争いです。
一番びっくりしたのは「こんな広告団体が存在すること」
正直、一番驚いたのは、広告の中身より、こういう政治広告の団体(スーパーPAC)そのものが存在して、この規模で動いていることでした。日本ではあまり聞いたことがありません。
岡田斗司夫さんの話などで、世論や選挙を動かすための戦略・マーケティング専門の団体がある、という知識はありました。でも、AI各社がそれぞれ別の団体を支持して、何億ドルという単位で実際に動かしているのを見ると、やっぱりすごいなと思います。
広告はAIの話をしていない
では、そのお金でどんな広告が流れているのか。
調査報道によると、AI関連団体のお金で作られた広告のほとんどは、AIの話を一切していません。内容は、物価や税金、移民、治安といった、その選挙区の有権者が一番関心のあるテーマばかりです。
例えば同じLeading the Futureのお金から、民主党候補には「MAGAに立ち向かった」という広告が、共和党候補には「MAGAの戦士だ」という広告が作られていました。真逆のメッセージなのに、出どころは同じです。
AIの話が出てくる数少ない例外が、ニューヨークの候補者アレックス・ボアズ氏をめぐる戦いです。安全基準を推進する法律を作った彼を、Public First Action側は「AIに安全基準を」と応援し、Leading the Future側は「Anthropicからお金をもらっている」といった切り口で攻撃しました。
要するに仕組みはこうです。
AIのルールに賛成・反対を訴えるのではなく、AIと関係ないテーマの広告で「味方になってくれそうな候補者」を当選させる。当選した議員が、後でAIのルールを決める。
投票者を扇動するというより、「お金で審判を選んでいる」に近い。これは知っておくべき仕組みだと思いました。
自分の考え:安全基準は義務化すべき
では自分はどっち側かというと、安全基準は義務化すべきだと思っています。つまりPublic First Action、Anthropic側の主張に近い。
もちろん、Anthropicがそう言うのはポジショントークでもあります。彼らは「倫理性・安全性」を売りにしている会社で、Claude自体も倫理観が強めだと言われています。自分たちが強い土俵にルールを持っていこうとしている、という見方はできます。
それでも、一人の個人として客観的に見て、言っていること自体は正しいと思うんです。
ここをガバガバにしてしまうと、安全基準を無視したAIがどんどん開発されて、いつか暴走しかねない。「AIで人類が滅亡する」と言う人もいますが、適切なガードレールさえ敷かれていれば、そこまで破滅には向かわないはずで、だからこそガードレールは民間の自主努力ではなく、政治として義務化すべきだと思います。
日本の「AI=危ない」という空気
もう一つ、これは今日の実体験です。
父の第一声は「危ない」だった
今日の昼ご飯のとき、父に、AI(Muse)がウェブを操作するところを披露しました。返ってきた第一声は「うわ、これ危ない」でした。
AIを普段使わない友達に見せても、反応はだいたい同じです。すごい、便利、よりも先に「危ない」が来る。
アメリカは自由な国の印象があるのに、あの動画の中でさえデータセンターへの反発やAIへの警戒があれだけ強い。なら日本はそれ以上なんじゃないかと思います。
ただ、実際にAIを毎日使っている身からすると、今のAIはかなりガチガチにガードレールが効いています。そういう実態を知らないまま、「AI=危ない」というレッテルが作られて、広まっていくことの方が問題だと思うんです。
だから、AI企業がお金を使ってでも、この認知を変えようとすること自体には、僕は賛成です。
それでもAI企業を応援したい理由
率直に言うと、僕は今のAI企業を純粋に応援しています。
AIがウェブを操作して、自動で仕事をこなす。今まで自動化できなかったことが自動化できるようになった。これは重要な進歩だし、とうとうAIが自分で働き始めた、ということだと思っています。
そして、AIが稼いだお金が、最終的にはみんなに分配される社会が来てほしい。僕はベーシックインカム的な社会を望んでいるので、その入り口に立っているAI企業の動きは、応援したいんです。
安全基準は義務化する。その上で、AIの進歩は止めないし、「危ない」の一言で終わらせない。この2つは両立すると思っています。
まとめ
- 動画は難しかった。でも噛み砕くと、「AIのルールを決める議員を、AI企業のお金が選んでいる」という話だった
- 広告はAIの話をしない。だからこそ、仕組みを知らないと見抜けない
- 自分の立場は「安全基準は義務化すべき。ただしAI企業が政治や認知に働きかけること自体は賛成」
- 「AI=危ない」で思考停止せず、ガードレールの中身を議論できる社会になってほしい
出典
- TBS CROSS DIG with Bloomberg(対象動画) https://www.youtube.com/watch?v=JS6FVZOHTwE
- Bellingcat「Inside the Secretive World of Campaign Ads Funded by AI Super PACs」(2026-11-02) https://www.bellingcat.com/news/2026/11/02/ai-super-pacs-political-advertising/

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